恋の神様がくれた飴

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レガーメ関係には参加しないけれど みよは父が誘うたび、嫌な顔をせず 一緒に出勤するようになった でも・・・ カウンター近くにある みよのデスクは土居の隣で それも父が決めたから私は何も言えないんだけど 仲良さそうに話す二人を見ているだけで 胸にモヤモヤしたものが広がる 特にみよが手招きするたびに 土居がみよの方に身体を傾けるから 益々目が離せなくて 何度もこちらを見るみよの視線に、我慢の限界がきた 立ち上がってゆっくりとみよの席に向かう 「みよ!遊んでないで仕事しなさい」 社会人の先輩として指導のつもりで言ったのに 「やだぁ、怖いね土居さん えりって怖いね、やっぱ年だからかな」 みよは益々土居に椅子を近づけた 「みよっ」 大きな声なんて出すつもりもなかったのに 土居に触れて欲しくない思いが声に乗った 「・・・っ」 途端に周りの従業員の視線を集めてしまい 頬に熱が集まるのを俯いて隠しながら 急いで席に戻った そこからみよのイタズラはエスカレートするばかりで 悔しさのあまり 物件の引き渡しには時間があるものの 土居を連れて出ることに成功した 「えりさん。どっちが腹立ちましたか?」 「ん?」 「みよさんが僕を見つめるのと 僕が笑顔でみよさんを見つめるの」 なんて意地悪な質問を考えるんだろう 「・・・両方」 どちらも嫌だと思う自分に照れて顔が熱い 「えりさん。僕は嬉しいです」 そう言った土居は信号待ちで手を繋いでくれた 土居との付き合いは楽しくて、嬉しくて、甘いのに、ちょっと苦しい たくさんの感情をくれるから 毎日毎日“好き”が積もっていく そんな平和ボケの私に 父から電話が鳴った 「もしもし、なにかあった?」 (みよが怪我をしてな) 「え、怪我?なんで?」 (詳しくは戻ってから言うけど 土居の昔の彼女にやられた」 驚き過ぎて父の言葉が上手く理解できない 茫然となる私から携帯電話を取った土居は代わりに父の説明を聞いていた ・・・昔の彼女って、あの子よね 私だけならともかく、みよにまで手を出すなんて許せない そこからの記憶は曖昧で 気がつけば土居の部屋に居た
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