恋の神様がくれた飴

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四人分作ったビーフシチューは アレンジもしたりして二日間で食べきった 「えりさん」 「ん?」 「親父から電話があって えりさん連れて泊まりにおいでって」 「・・・泊まりに?」 「日帰りするには距離があるから泊まりになりますね どうしますか?田舎だから何にもないですけど」 「うん行きたい。勇人が生まれ育った場所を見てみたい」 「実は、兄貴夫婦も楽しみにしてるそうですよ」 「そんなこと言われると緊張する」 「彼女を実家に連れて行くのは初めてです」 「・・・勇人」 「だから僕も楽しみです」 「うん」 「えりさんをみんなに紹介したいから忙しくなりますよ 地元に残ってる友達とも会いたいから覚悟してくださいね」 何気ない土居の言葉に 気持ちが伝わってきて嬉しい 「・・・っ、えり、さん?」 「大丈夫、ごめん」 嬉しくて涙が落ちたのがバレてしまった そっと抱き寄せられた腕の中は心地良くて 土居の優しさが嬉しくて 結局、涙は簡単に止まらなくて 「えりは泣き虫だなぁ」 膝の上に抱えられてしまった 「勇人」 「ん?」 「好き」 「僕も好き」 「大好き」 「僕も、えりさん大好き」 「・・・ん、と」 「ん?」 土居しか聞いていないけれど 愛してるって、ハードルが高い それでも、勇気を出したい もたついているうちに 「えり、愛してる」 「・・・っ」 先を越されてしまった 「えりさんは?」 「うん」 「うん、って?」 「・・・っ」 「ほら」 柔らかに微笑む顔を見ているだけで 心がポカポカ温かくて笑顔になる 幸せって 甘い、甘い飴みたい だから・・・ その飴に背中を押して貰うの 「愛してる」 「やっと言ってくれた」 恋の神様 甘い飴をありがとう えりはとても幸せです fin
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