お久しぶりです!

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お久しぶりです!

 コウ君とフウ君が十二歳になると、先を見据えて村でのお勤めの準備を始めていました。  ソウジュ様はあくまで期間限定で共同生活をしているだけで、いつまでもいてくれる前提で当てにして暮らしているわけにはいかないのです。  ソウジュ様自身は、彼らがこの世界での法的成人年齢である十五歳になるまでは側で見守ろうと考えていたのですが。お別れの時はそれよりも早くに訪れてしまいました。 「やぁーっと見つけたわよ、太陽竜!」  ぷりぷりと頬に空気を溜めて膨らませて、遺憾の意を表しつつアルディア村に現れたのは。 「その神器……君は、巨神竜か」 「ごめいさーつ。まぁ、あたしの自慢の神器は一度見たら忘れないわよね。他の連中と違ってとびっきりにこだわって、いっとう美しくておっきくて強く作ったもの!」 「ああ。他の神器と比較しても派手だから」  ちょっと皮肉を言われているように聞こえるのですが、シーちゃんはご機嫌で意に介しません。  私も以前よりちょっと思っていましたが、神器と言われても意外と質素なものも多い気がします。私が手に持ったことはないですが、中でも抜きんでて地味と評されているらしいのは母神竜様の神器だったりします。  身の丈より大きな戦斧も、それを華麗に振り回すシーちゃんも、いつ拝見しても溌剌としていて本当に楽しそうです。 「それはともかく! こぉんな辺境の村で人に混じって平々凡々に暮らしてたなんて聞いてないっつーの! おかげで居所を突き止めるのに何年もかかっちゃったじゃないのよ!」  どうやらシーちゃんは、ソウジュ様がこの数百年、各地の軍を一定周期で渡り歩いているという情報をどこかで掴んでいて、それを参考に現在の所在を探っていたようなのです。この数年間。  いくら千里眼をお持ちといっても、どこにいるのか。すなわち「どこを見ればいいのか」知っていなければ姿を捕捉することも出来ませんよね。 「僕がどこで何をしていようと、君に関係ないだろう」 「大ありだわ。あんたが太陽竜である以上、あたし達の管理責任は問われてしかるべきっしょ。癪だけど」 「何の話だ?」 「この世を作り出した最高神の癖に世間に興味なさすぎじゃない? G大陸で源泉竜の率いる統一軍が大暴れしてんの知らないわけぇ?」  源泉竜様……リリアが暴走を始めたのはユーリの死が契機でした。彼の死と同時に支配軍を離脱し、コウ君達に会うため移動を始めたソウジュ様はG大陸の動乱にまだ気付いていなかったのです。どこかの軍に所属中でしたら、知る機会はあったと思います。
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