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親友として
「あっ、コウー! またひとり連れ帰ったから後で面接頼むわー」
午前中にあった軍事訓練を終えて、着替えのため部屋に戻ろうとしていたコウ君に、帰還したカイン君が声をかけました。
似たような状況でコウ君は、おかえり、とかお疲れ、とか、ごくごく普通に挨拶を返してくれます。コウ君に限らず大抵の人はそうするのではないかと思いますが。
この時のコウ君は無表情のまま、ただカイン君を見るだけでした。
「おまえ……まさか……」
たったそれだけのことで、カイン君は察してしまいました。
「コウ、……なのか?」
いつものコウ君だってカイン君にとってはコウ君なのですが、他にどう表現したらいいものかわかりませんでした。ややこしいですよねぇ、やっぱり。
コウ君は目を逸らしませんが、答えません。いつものコウ君だったら何らか返してくれるはずですから、答えがないのも答えと判断して、カイン君は畳み掛けます。
「今まで一体何してたんだよ。フウがどんだけ心配したか……そもそもあんな状況でよく弟をひとりに出来るよな。無責任だと思わないのかよ」
カイン君も両親がおらず、お姉さんに育ててもらいました。彼女に苦労をかけたなぁと思っているからこそ、フウ君をひとりぼっちにして。結果的に良い関係を築いたとはいえ、どこの誰とも知らぬ何者かに弟を任せきりにしたコウ君が許せないのです。
「フウのためだよ」
「はあ?」
「フウを助けられなくても、フウが消えなくて済む世界を俺が作る」
カイン君は人並み以上に優秀な方ですが、さすがに何を言われているのかさっぱりです。神竜の存在も、コウ君が夢幻竜様であることも、さらに彼の能力も知るはずもなく。前提知識すら持たない以上、コウ君の真意など推定できるはずもありません。
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