姿は見えなくても、私達はいつも一緒です

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「私達は、もう何年も……嬉しいことはふたりで喜び合いましたし、悲しいことはふたりで乗り越えてきたんです」  そーちゃんも含めた三人での旅暮らしでしたが、そーちゃんは私達にとって見守る対象でした。そーちゃんの成長を見て喜ぶのも、彼を取り巻く境遇を心配したり憂いたりするのも。そしてこの子がいてくれて良かったと幸せを感じるのも。  大人同士だからこそ対等に分かち合える感情というものが私達の間にはあったのです。おまけに私と彼は全く同じ条件の体で、先の短い生涯であることさえ慰め合うことが出来たのです。 「あなたとクエス、どちらが望んだのか、あるいはどちらもか……これからも寄り添い続けたいと願ってこうなったと?」 「そうかもしれません……」 「お熱いですわねぇ。焼かれてしまいそうですわ」  妬けて、ではありませんので誤解のなきように。などと、エルはよくわからないことを言います。 「けれど、必ずしも良かったとは言い難いですわね。夢幻竜の役割を思いますと」  夢幻竜様は「安息」を司る神竜。その役目とは、この世に存在するあらゆる負の感情をたったひとりで引き受け、浄化しなければならないのです。  エルの意見もわかりますが……彼ひとりだけにそんなものを背負わせずに済むのなら、これで良かったんですよ。私自身はそう思えます、心から。 「そうとわかりましたら、さっそくまた眠りませんと!」  お互いの姿は見えなくとも、眠っている間はいつもそばにいられるとわかったのですから。  いつか何かの拍子に、クエスの心のありかを見つけることが出来るかもしれないじゃないですか。その為に何度でも夢を見たいと思うのです。 「わたくしとしましては、せっかく話し相手に出会えたというのに眠ってしまわれるのは残念ですが……事情が事情だけに致し方ありませんわね」 「お力になれなくてごめんなさい……」 「あなたが気に病むことありませんわ。……いつか立場が逆転しそうですし」 「はて?」  いずれその時がくればわかりますわ。エルはそう言ってはぐらかし、その意味を教えてはくれませんでした。
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