源泉竜の終着

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源泉竜の終着

「あ~あ~……ユーリったら死んじゃったんだぁ。まぁ~たつまんなくなっちゃったぁ」  精霊の森の奥深くでリリアはひとり嘆き、戯れに軍刀で己の首に刃を押し当てました。首を切り落とすまでは試さず、頸動脈に達した切り傷から鮮血が噴き出すのをひとしきり眺めて、自分が死なないことを確認します。 「やっぱり、ね。わたしを……源泉竜を殺せるのは太陽竜の神器だけかぁ」  そう溢しながら、リリアは何の悪意もなく純粋に笑います。まるでまだ穢れを知らぬ少女のように。 「だったら太陽竜がわたしを殺せる流れになるように、人の世の争いを活発化させないとね。とりあえず統一軍を動かして大陸軍と戦わせよーっ。えいえいおーっ」  私達以外の誰も知らぬことでしたが、新暦三一九年に突如として、G大陸の内乱が激化したのはこんな理由だったのです。人々が知ったらなんとも絶望的な気持ちになるでしょうね。私達の胸の中だけに留めたいと思います、恒久に。
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