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そもそも今のバルレリア王の曾祖父の前の時代。
遠い親戚というか、もう他人と言っても差し支えない気がする。
ちなみに私もお兄様もそこそこ可愛いくらいで、絶世の美女にはほど遠い。
その美人な王妃の血のおかげかどうか知らないけど、バルレリア王国のほうは美形揃いだから、なんだか複雑な気持ちだ。
「僕たちが生き残るためには前回の人生で起きたことを変えていくしかない」
「そうね」
お兄様の提案に異論はなく、力強くうなずいた。
でも、変えると言っても具体的にどうすればいいのだろうか。なにも思いつかない。
「レティツィア。運命を変えるのは簡単じゃないと思う。けど、僕たちは死ぬわけにはいかない」
「そうね」
「だから、そのために前回とまったく違うイレギュラーな行動が必要だ」
「まったく違うこと? 私だったら、クラウディオ様の婚約者にならないよう避ければいいってことかしら?」
「それだけじゃ生ぬるい。つまり、僕という人間、ヴィルフレードだけど、ヴィルフレードじゃなくなればいいってことだよ」
「そんなことできるわけないわ」
ため息をつく私に対して、お兄様は違っていた。
「僕に名案がある。任せろ! 我が妹よ!」
目を輝かせて親指を立て、得意顔でウインクをキメてきた。
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