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お兄様の自信満々の顔を見て、正直、嫌な予感しかしなかった。
期待よりも不安のほうが大きい。
お兄様も私も七歳。剣も使えなければ、馬だって乗れない無力な子供。頼りにできるような年齢じゃないというのにどう頼りにしろと?
冷めた目で現実と向き合う私、外見年齢七歳。七歳の私たちになにができるのか。
お兄様に現実を教えようとしたその時――
「まあああっ! ヴィルフレード様、レティツィア様! お目覚めになったら、まずお顔を洗ってください。毎日言っているでしょう? 朝からお二人で遊んでいらしたんですか?」
子供部屋の居間から続く隣の寝室から、恰幅のいい女性、私たちの乳母が現れた。
乳母はシーツを取り替え、ベッドを整えていたらしく、シーツやカバーをメイドたちに渡しながら、早口で言う。
「お二人の朝食は卵とパン、それから野菜たっぷりのスープを。ミルクも忘れずつけて。ヴィルフレード様は酸味のあるものはお嫌いだから、フルーツは甘めのものをね。レティツィア様はパンにジャムがないと口にしないから忘れずに」
乳母は一気に捲し立て、メイドたちに指示を出す。
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