2 お兄様がお姉様!? 女装ですか?

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 そして、私たちの前にドンッと立ち塞がった。  七歳の体のせいもあるだろうけど、乳母の体が大きくて前が見えない。 「よろしいですか。今日は特別な日なんですよ。何度も陛下たちからご説明されたのに忘れてしまったんですか?」  乳母の子供扱いにお兄様はげんなりした表情を浮かべ、大人びた態度でお兄様はやれやれと肩をすくめた。 「覚えてるよ。今日は七歳の誕生日だ。僕たちの存在を外部に公表する日だよね」  ルヴェロナ王国の王家では子供が七歳になるまで子供の存在を公表しない。七歳になると、子供が成人まで順調に育つと信じられているからだ。  両親は私たちの七歳の誕生日が近づくにつれ、安堵し、喜んでいるのがわかった。  王宮の奥で限られた人間に世話をされて育ってきた私たちもようやく自由に外へ出られる日がやって来たのだと、七歳になるのを楽しみにしていた。  ――ただし、楽しみにしていたのは前回の私たち。  今回は誕生日が嬉しいなんて、素直に思えなかった。  十六歳の誕生日が近づけば近づくほど、クラウディオ様に殺される可能性が高まるのだから。
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