2 お兄様がお姉様!? 女装ですか?

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「今日が特別な日だとわかっていらっしゃるなら、早く着替えを済ませましょう。陛下たちも楽しみにしていますからね」 「それなんだけどさ。僕、ドレスがいいな」 「ヴィルフレード様? 今なんとおっしゃられましたか?」  部屋中をイノシシみたいに忙しなく動き、ぬいぐるみや人形、らくがきした紙を片付けていた乳母が動きを止め、ぐるりと体をこちらへ向けた。 「だから、僕が着る服だけど、レティツィアが着ているようなドレスが欲しいんだ」  お兄様の言葉に、乳母は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。口を大きくあんぐりと開けていた。 「ご、ご冗談でしょう?」 「ドレスを準備してよ。ドレスじゃないと僕は外に出ない」 「お兄様っ! なにを言ってるの? 本気?」  乳母だけじゃない。私も同じようにポカンと口を開け、お兄様を見た。  ヴィルフレードじゃなくなるって言ってたけど、それってつまり…… 「ずっとレティツィアのドレスがいいなって思ってたんだよね」 「とんでもない! そんなわけにはいきませんっ! ヴィルフレード様は王子なんですよっ。王子は王子らしい服装をするべきです」 「じゃあ、外に出ない」
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