1 巻き戻る時間

7/12
前へ
/265ページ
次へ
 眩しい光が窓から差し込み、部屋の床を照らす。  窓ガラスに映る私は寝間着姿で、手にテディベアを持っている。子供の頃、お気に入りだったテディベアは赤いリボンつき。  抱き締めるとふかふかして安心できた。  懐かしい――ってそうじゃない。 「私の手足が縮んでいる?」  私が抱き締めているのは大きいサイズのテディベア。だけど、十六歳の私が持つと、もっと小さく見えたはずだ。  私の顔とテディベアの顔がご対面するのはおかしい。 「どうなってるの? この姿はなにっ? 子供? 子供になってる!」  それだけじゃない。  燃えていた王宮は以前のままの形を留めている。  そして、窓の外は見慣れた湖と森、さらに遠くには畑が広がり、羊や牛、馬が平和に草を食んでいる。  燃えていたはずの木々は青々とし、兵士が浮かんでいた湖面は朝の光を反射させ、鳥の家族が列を作って浮いている平和な光景。  「なにが起きたの?」 「んー? おかしいな? 首を切られたはずなのに首と胴体がつながっているぞ」
/265ページ

最初のコメントを投稿しよう!

889人が本棚に入れています
本棚に追加