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窓に映る自分の姿に呆然としていた私の背後で、なにやらホラーななことを呟いたのは双子の兄、ヴィルフレードお兄様だった。
子供頃はお揃いの寝間着を着ていたから、私たちはそっくりで鏡を見ているみたいだけど、違う。
「首と胴体がつながってるだけじゃなくて、手足が縮んでいるのもおかしいんだよなー」
「お兄様。生きてる人間なら、首と胴がつながっているのは当たり前よ」
「うわっ! レティツィアがいるっ。それも小さい! いや、レティツィアはこんなもんだったか?」
「そんなわけないでしょ! お兄様と同じ十六歳だったのを忘れたの?」
テディベアを抱き締めて声を張り上げた私をお兄様が真剣な目で見つめる。
「昔は僕に似て可愛かったなぁ」
「どういう意味よっ! 十六歳の私は可愛くなかったとでも言うの?」
「十六歳のレティツィアも可愛かったよ。なるほど。レティツィアも僕と同じで、十六歳までの記憶を持っているようだね」
十六歳――それは私たちの誕生日の日、私とクラウディオ様の結婚式が執り行われるはずだった年。
だんだんと記憶が鮮明になってきた。
「そ、そうなの。私、クラウディオ様に殺されたの!」
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