晴れ

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 雨が降らない。もう何日も。いや、何ヶ月も。  大人は農作物の心配をし、テレビでは節水の協力を呼びかけている。このまま晴れの日が続くと大変なことになるらしい。  そんなニュースを横目に見ながら、僕は今日こそ学校の裏山に登って、しっかり探さないといけないと考えていた。事態は思っていた以上に深刻になってきた。この国の運命は、僕にかかっているのだ。  急げ。たぶんあの裏山にまだあるはずだ。三ヶ月前に思いきり空に放り投げたまま、見つからずにいる僕の忘れものが。  「あーした天気になーれ!」  あの日からきっと、僕の靴は裏返っていないのだ。
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