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それが何かは分からず、違和感だけが大きくなっていきました。
自分は、みんなと同じように一緒に育ってきたのに、何かが違うと、感じていたのでした。
思春期を過ぎたあたりで、友達の中で新しい命を宿すモノたちが現れました。
そのとき、「なにかがいやだ」とヤマは思いました。
何が、いやなのかわからなかったけれど、なにかが嫌だということは確かに感じていました。
いままで一緒に仲良くやってきた村人たち全員が自分を騙しているような気がしてなりませんでした。
それから直ぐに、ヤマは村を出ることを決意しました。
外の世界があることは知っていた。
そこに、自分が捜し求めているものがあると、思うようになったからだ。
違和感や、嫌悪感、そういったものを消し去る何かが外にはあると、信じて疑わなかった。
ヤマと同世代の友達は外に出ることを反対した。
理解ができなかったのだ。
ただ、老人や大人たちはヤマがそうしたいのも納得していた。
村の外で生まれたのだから、外に出たいと思って当然かもしれない。
村人たちは、ヤマを送り出しました。
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