僕をこんな身体にした責任、取ってくれますよね?

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「ねぇ、好きだって知ってた?」  は? こいつはいきなり何を言い出すんだ?  何が好きだって? 「何を?」 「お前」  僕は目の前で瞳も逸らさずそんなことを言ってくる先輩、篝火雄大(かがりびゆうだい)から視線を逸らした。  この全く頼りにならない先輩が僕のことを好き?  笑わせるにも程がある。 「僕、ゲイじゃないんで」 「俺だってゲイじゃない」  は? 本当にこいつは何を言い出すんだ?  ふざけるのもいい加減にしてくれ。 「じゃあ、そういうことで。僕、帰ります」  僕は踵を返して会社―─三井商工会議所―─の出口へ向かった。 「ちょっ、待てって! 優紀(ゆうき)!」  そう呼ばれて腕を掴まれた僕、優紀 涼(ゆうきりょう)は篝火先輩の顔をキッと睨んだ。すると腕を引かれて胸に閉じ込められてしまう。  無駄に、そう無駄に身長が183cmもある篝火先輩に、悔しくも162cmしかない僕は力では敵わなくて。 「放せよっ!」 「やだ」  僕はイライラを募らせる。なんだこの変態は。  使えない先輩だとは思っていたけれど、更に変態だったとは。もう手に負えないじゃないか。 「帰るっ!」 「ラブホいこ?」  は? 本当に変態だ。誰か! おまわりさーん!  僕はガッチリと抱擁を解いてくれない、目の前の使えない先輩に非難の目を向けた。 「行くわけないだろ! そんなとこ! 僕はゲイじゃないって言ってるじゃないですか!」 「いいから」  そう言って篝火先輩は思い切り僕の手を引いて所の入り口に歩き出した。なんとか手を放そうとするけれど、コイツのバカ力がそれを許さない。  やがて所の前を通ったタクシーに無理やり押し込められて「プチフルールまで」なんて恥ずかしげもなくラブホテルの名前を告げる。  タクシードライバーだって男同士でそんなところに行こうとしているなんてきっと奇異の目で見ているに決まってる。恥ずかしい。勘弁してくれ。  タクシーがラブホテルの前につくと篝火先輩が清算し、また腕を力強く掴まれて引っ張り出された。
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