機械仕掛けの蛙

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「ねぇ奥さん聞いた?モア王国の王子が行方不明なんですって」 「まぁ、怖いわね。もしかしてこの城下町に侵入してきているの?」 「そこまでは分からないけど…もし入ってきてても見分けつかないわよ。なんてったって機械人は見た目だけなら私達と何ら変わらないんだから」 「心の無い機械人の事よ。きっと戦争で負けた仕返しに人間を殺しに来たに違いないわ」 「案外、心臓を奪えば自分達に無い心が芽生えるとでも思ってるんじゃないかい?」 「おぉ汚らわしい。朝っぱらからそんな話考えたくないよ」 朝日が差し込むグリム王国城下町で行われている主婦達のそんな井戸端会議は、町娘の格好をしてお忍びで遊びに来ていたアンジェラ姫の耳にも勿論入ってきた。ふん、と姫は鼻を鳴らす。ハッキリとしている性格の姫にとって、人間の姿をしておきながら心を持たない彼らは人間にも機械にも成り切れていない中途半端な存在に思えて仕方がなく、そしてそんな不安定な彼らを毛嫌いしていた。 「機械は機械らしく生きていれば良いのに。どうしてそうも心を求めるのかしら。気持ちが悪い。そんなの欲張りよ」
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