10.秋の日

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10.秋の日

 素敵な下駄を買った。美しい棚田を眺めた。また一つ思い出。だけど最後の旅だった。ばかみたいな呪文も全部試したし、星にも死神にも悪魔にも願い祈ったけどあの日の前にはどうしたって戻れなかった。今はもう受け入れている。それでもやっぱりあなたの日には悲しみを従えた秋が僕を突き抜ける。息してるよと小さく言ったあなたを僕は忘れない。
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