6.夏子

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6.夏子

 夏子が嫌いだ。夏子は嘘つき。優しい顔で良い人ぶっておいて約束を全部置いていった。夏子が星へ帰ったせいで本当の僕を知る人はもう誰もいなくなってしまった。どんなにたくさん友達がいたって夏子がいないんじゃ僕はひとりぼっちだよ。あれから数年、一度だってその名前を口に出したことはない。けれどどうしてか僕はまだこんなにも彼女のことを憶えている。
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