2022.01.20. トランスフォームとメタモルフォーゼと校長の話

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2022.01.20. トランスフォームとメタモルフォーゼと校長の話

トランスフォームなんですよ、変身を英語で言うと。 なんかかっこいいです。 あ、「変身」にてご入選の方々、おめでとうございます。 惜しくも逃した皆様もお疲れ様で御座いました。 結果はどうあれ、向上心を持って新しい事に挑戦して作り上げた作品であれば、必ず自分自身も成長して次の自分へと「変身」できることでしょう、などと校長の挨拶のようなことを言っておけばとりあえず良しです。 さておき、幼少の頃から虫の(サナギ)が怖いです。 昆虫の変態を知った時、そして変態の過程である蛹の中がいったん液状になって再構築されていると知った時、三日三晩の嘔吐に襲われながら、世界には決して相容れることの無い敵が存在しているんだ、しかも数で言ったら圧倒的多数派なんだ、人間など、自分など、この世界においては常に四面楚歌、変態しやがる変態野郎に囲まれて日々戦々恐々と暮らすしか無いんだ、などと打ちひしがれたものです。 変態は英語でメタモルフォーゼなどとかっこいい感じで言ったものですが、全くその異常性を誤魔化せてはいません。 なんでそんな気持ちの悪いことをするんですかと胸ぐらを掴んで問いただしたい所ですが、蛹の胸ぐらがどこにあるのかわかりませんし、うかつに触って、意外と固くても意外と柔らかくてもまたゲー出ちゃいますし、微妙に動かれでもしたらもう立ち直れません。 そうして引き籠もった私に対して、まるで蛹のようだね、でも大丈夫、蛹は大事な成長過程なんだ、蛹から抜け出してきた時、君は美しい蝶のように羽ばたけるはずだよ、などとのたまう校長の説教がまた不愉快極まりないです。 そもそも蝶も相当気持ち悪いですし。 何ですか、口がストローになってるって。 腹部とか裏返した胸部とかも最悪ですし、私は絶対に蝶になどなりたくはありません。 しかも人を蛹に例えておきながらも、その一方で昭和の田舎育ちの校長は、恐らく昨今取り沙汰される昆虫食なども当然に受け入れているのでしょう。 諸々の蛹ぐらい平気で食べるはずです。 となると人を蛹に例えた校長の猟奇性が浮き彫りになってきます。 しかし校長は続けます。 向上心を持って新しいことに挑戦するんだ、だから怖れずに君もこれを食べるんだ、そして次の自分に変身するんだ、蛹は英語で言うとクリサリスなんだよ、どこかで聞いたことのある言葉とよく似ているね、くくく、と。 ならば仕方無いです、ハラスメント的なことも加わってきたので警察を呼びます。 マジで何ですかこの話。 笑
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