アゴサワリ

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アゴサワリ

俺は、桜庭ひろき 小樽市内にある高校に通っている。成績は下の中。部活は卓球部。 自分で言ってて悲しくなるが、どこにでもいる普通の高校生だ。 俺には、悩みがある。 それは、俺のアゴをさわる友人 の存在についてだ。 「アゴさわらせろよー!!そうだ!!アゴをさわらないと一日が始まらねえよ!!」 昼休み。いつものように俺の友人・安藤優斗(あんどうゆうと)が俺のアゴに手を伸ばしてきた。 「やめてくれって言ってんだろうが」 そう言いながら俺は安藤の手を振り払った。 「なんだ!!その態度は!!こっちは、アゴをさわりたいだけなんだよ!」 「うるせぇ!!こっちは迷惑なんだよ!!」 安藤は、抵抗する桜庭の顔に右ストレートをいれる。「グハッ……」 「いいからさわれよ!触らせて下さいだろうが!」 殴られた衝撃で倒れている桜庭。 「うぅ…………わかったよ……触ってくれ……」 「最初から素直になればいいんじゃあないかぁ~ 生意気だし アゴに鼻クソつけちゃお~」 「くそぉ……」 「鼻クソストリーーム!!!」 安藤は、桜庭のアゴにつけた鼻クソを見て、恍惚な表情を魅せる。 そして、アゴをさわるのであった。 「ああ……これがアオハルと書いて青春か……いや、アゴハルだ!!」 「お前は変態だよ!!」 安藤は、自分の教室に戻って行った。 桜庭も席に戻り、次の授業の準備をする。 「また、アゴさわられてるのか? おまえら、ゲイか?」 後ろの席に座っている男子生徒に声をかけられた。 「おまえらってなんだよ!俺は被害者だ!!」 こいつは、俺の友達の高松だ。身長が低く、メガネをしている。 「いや、だってあいつホモじゃん」 「どんだけ、あいつ、俺のアゴをさわりたいんだよ」 「毎日触られるもんなー」 「ハァ……」 溜息がつく。 確かに毎日触ってくる理由がわからない。 性癖だとしても異常だ。 「なんか理由でもあるんじゃないか?」 「どんな理由があっても嫌だよ!!」 「そんなことより、今日ゲーセン行かね?」 そんなことって何だ!!毎日、さわられてる身にもなってみろよ!!」 放課後になり、桜庭と高松はゲーセンに向かう。 ゲームセンターに着くなり、2人は格闘ゲーム アゴリートファイター34を始めた。このゲームは、有名な格ゲーで桜庭のお気に入りのゲームだった。 対戦が始まった瞬間に、桜庭は必殺技を出すためにコマンドを入力する。 (よしっ!この技なら勝てるぞ!) だがしかし、相手のキャラによってガードされた。 そして、カウンター 攻撃をくらってしまったのだ。 「ぐわぁぁぁ!!!」 負けてしまった。 しかも、相手はコンボを決めてきて、さらに追い討ちをかけてきた。 「まだまだ甘いな」 「クッ……」 悔しそうな顔をしている桜庭。すると、安藤がやってきた。 「おぅおぅ アゴリートファイターとは… どうやら、桜庭君は、僕を誘ってるみたいだ」 安藤は自分の口元をペロリと舐め始めた。「うわぁ……」 ドン引きする桜庭。 「じゃあ、僕はトイレに行ってくるね」 「早く行けよ!」 安藤がいなくなったところで、高松が話し掛けてきた。 「あいつ、いつもああなのか?」 「うん……まぁ……」 「そうか……大変だな」 同情の言葉をかける高松。 その後、2人でゲームをした。 帰り道の途中にある公園に立ち寄った。 ブランコに座ると、桜庭は深いため息をつく。 「なんで、こんなことに……」 次の日 安藤が二人になっていた。昨日の事を思い出す。 「もし、俺が二人なったらどうする!!?」 そう言うと、あいつは、帰っていった。 まさか!!!?朝起きて学校に行く支度をして玄関を開ける。 そこには、二人の安藤が立っていた。 「アゴさわらせてくれよ~舐めさせてくれよ~俺のすね毛にアゴこすりつけてくれよ~」 「断る!!!」 桜庭は全力疾走で逃げた。 逃げる桜庭を見て、 二人の安藤は笑う。 そして、今に至る。 授業中も二人の安藤の視線を感じる 周りは安藤が二人になった事に気がついていないようだ。それどころか、変わらずに接している。「おい!桜庭!ちゃんと先生の話を聞いてるか?」 「え?あっ……はい!」 考え事をしていて聞いてなかった。 「ったく!もうすぐテストなんだから気を引き締めろよ」 「わかりました……」 放課後。桜庭は一人で帰ることにした。 その後ろに、桜庭の後をつける安藤が三人いた。「どこ行くんだろうな」 「さぁ……」 「尾行してみる?」 「面白そうだしやってみようぜ」 安藤達は、桜庭の後ろをついて行き、桜庭はコンビニに入った。 「桜庭君!一体何を買おうとしているのかな!?アゴ舐めしてもいいかな?」 「ダメだろ……」 「んー」 「どうした?」 「いや……別に……」 安藤は桜庭が入ったコンビニに入ろうとした。「ちょい待ち!」 一人の安藤は、もう一人の安藤を止めた。 「なんだよ!」 「これは、桜庭君のプライバシーに関わる問題だ」 「確かに……」 「ここで待とう」 「だが、断る!」 数分後。桜庭が出てきた。 「桜庭く~~~~~~~~~~~ん!!」 安藤達が桜庭に近寄っていく。 「げっ!!お前らかよ……」 「俺達を置いていくなんて酷いじゃあーないか」 「うるさいなぁ……何の用だよ」 「アゴ舐めさせてよ」 「嫌だ」 「じゃあ、殴る」 三人の安藤が桜庭に暴行する。「痛いっ!!」 桜庭は地面に倒れこんだ。 「うぅ……」 「桜庭君が悪いんだよ」 「アゴ舐めさせないから。これは、正義だ」 「次からはチン毛食べさせるよ」 「やめてくれ」 「アゴ舐めさせてくれる?」 「嫌だ」 「じゃあ、また、暴力ふるっちゃおっかなぁ」 「卑怯者め……」 安藤達の一方的な攻撃が続く。 すると、そこに高松が現れた。 「何やってんだ!!お前ら!!」 「誰だ!?」 「邪魔しないでくれる?」 「そうだ!高松!お前も俺になれ。」 安藤は高松の額に手をやると、高松の額から黒い液体が溢れだし高松を包みこんだ 。 すると、そこにはもう一人の安藤がいた。 「これで4対1だ!」 「よし!桜庭をボコろう」 「そうだな」 「やめてくれぇ!!!」 安藤は桜庭を蹴る。 「ぐふぅ……」 桜庭は倒れた。薄れゆく意識の中、高松を包み込んだ液体から、新たな安藤が現れた。 高松は安藤になったのだ。 「ハッピーバースデー」 「ようこそ!漢の世界へ」 「新たな使徒の誕生だ!」 3人の安藤は笑いながら、四人目の安藤を祝福する 残された桜庭は、 気絶してしまった。 次の日 学校に着くと、生徒全員が安藤になっていた。「アゴぺろリーノ!」 教室に入ると、クラス全員の安藤が挨拶してきた。 桜庭は、驚きながらも返事をする。 自分の席に座ると、クラス全員の安藤が話しかけてきた。 「アゴ舐めしていい?」 「いや……それは……」 「ダメか……」 そう言うと、安藤達は一斉に立ち上がり、桜庭を囲んでいた。「え?ちょっと……みんな……どうしたの!?」 「アゴ舐めさせてくれよ」 「いや……だから……そればっかりじゃない……」 「アゴ舐めさせろよ!!」 「ひぃ!!」 桜庭は、悲鳴をあげ、教室から逃げて行った 。 桜庭は屋上に来た。 そして、一人呟く。「なんでこんなことに……」 屋上からグランドを覗くとそこには生徒はおろか、教員も安藤になっており桜庭に 「アゴ舐めさせろ」「アゴ舐めさせろ」「アゴ舐めさせろ」「アゴ舐めさせろ」「アゴ舐めさせろ」 桜庭の頭の中は混乱していた。 桜庭は、安藤達に捕まった。 「さぁ、アゴ舐めさせて」 「嫌だ……」 「しょうがないなぁ……じゃあ、無理矢理舐めるね」 「やめろぉ!!」 桜庭の叫びは、虚しく空を切る。 一人の安藤が桜庭のアゴを舐めた。 「うりーいー!」 「もう一回」 今度は別の安藤が桜庭のアゴを舐める。 「どう?美味しい?」 「モナリザの手で勃起する。」 「やめて……」 桜庭の顔は真っ青になる。 一人の安藤が桜庭の耳たぶを舐めた。 「ワムウ!」 「次はどこを舐めようかな?」 一人の安藤が桜庭のアゴを指で触る。 そして、桜庭は意識を失った。桜庭は目を覚ました。 そこは、病院だった。 桜庭の隣には医師がいた。 「お目覚めですか」 「ここは……?」 「病院ですよ」 「僕は……一体……何が……あったんだ……?」 「あなたは、災害からの唯一の生存者です。」 「僕だけ……生き残ったのか……他の人は……どうなったんですか……?」 「…………」 「教えてください!!お願いします!!」 「わかりました……」 桜庭は、医師から全ての話を聞いた。 話によると、桜庭以外の小樽市民の人間は皆、安藤になってしまったらしい。 安藤は、桜庭のアゴを舐めたことにより、暴走し、自衛隊が出動する騒ぎになった。しかし、安藤を倒すことはできず逆に自衛隊が安藤になり、人類は安藤に支配されてしまった。 その後、人々は自我を失い、ただ、本能のままに行動するようになったという。 「そんな……」 「残念ながら……これが現実なのです……」 「僕のせいだ……」 「あなたのせいではありませんよ…… こ、こ、こ、これはこれはこれは、あ、あ、あ、たのせいでは、せいでは、せいでは、アゴォー!!!!」医師も安藤になっていたのだ。 桜庭は、発狂した。 「ああぁ!!やめてくれぇぇぇぇぇぇ!!!」 完
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