決戦(2)

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 機銃掃射のように水の矢が傀儡の王に降り注ぐ。  目を開けたリアとナギの視線が絡んだ。  瞬間、ナギの身体を炎獣の浄化の炎が包む。  ナギは目を見開きわずかにかがみこみ、やがてゆっくりと顔を上げた。  亜空間内に炎が吹きすさび、支配領域の壁は籠のように炎の糸で覆われていく。  すべての棘が霧消する。  ナギの右手は開かれ、頭上に突き上げられている。  彼の瞳のような瑠璃色の輝きが、徐々に赤い炎を染めていく。  圧迫感に、傀儡の王も、リアもベスも縫い留められ身じろぎすらできない。 (これが、ナギの魔力)    ふいにナギの右手が握られ、瑠璃色の炎の籠は、傀儡の王ごと押し潰れた。 * 「リア」  ぼんやりとリアは目を開いた。焦点が合うと、そこには瑠璃色の瞳がある。その瞳は、痛々しいほどに歪んでいる。 「ナギ」  微かな声に、ナギの震える手が頬に触れた。 「もう、置いていかないで」 「……すまない」  ナギの涙が、リアの頬を濡らす。 「お兄様。触ってはだめよ」  静かにベスが引き留める。 「力が戻ったばかりで加減ができないでしょう。大丈夫、リアに深い傷はないわ」  リアは静かに目を閉じた。 * 「それにしても本当に、男の人っていうのは」  リアの傷にゆっくりと治癒魔法をかけながら、ベスはプンスカ怒っている。 「すまない。君たちは、……よく似ているものだから」  傀儡の王の手元にあったのは、ベスの姉、マーガレットの傀儡だった。  ナギから見ると、アニサカ家の姉妹はほとんど生き写しだ。傀儡の王が間違えるのも無理はない。 「こんな屈辱はないわ。全く、あのまま結婚しなくてよかった」  まんざら冗談でもなさそうな響きに、思わずナギは首をすくめた。
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