過去を思う歌

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過去を思う歌

 年末になるとNHKで「72時間」の特番をやるので、けっこう楽しみに観ています。  これは特定の場所で丸3日、スタッフが留まって、そこを訪れる一般の人にいろいろ話を聞くというシンプルなドキュメント番組ですが、もう10年近く続いていて、ファンが多い。  年をとるにつれ、ドキュメント番組が好きになっていくような気がします。72時間よりもっと好きなのが、テレビ東京の「家、ついて行ってイイですか?」というヤツで、毎回毎回、笑ったり泣いたりしながら観てます。  どっちの番組も、誰かの人生を、良いも悪いも評価しないのがいいんです。矢作さんは(バラエティだから)ちょっと茶化すんだけど、一方で少しだけ目が潤んでたり、そのくらいのバランスがちょうどいい。いろんな人生があるし、正解なんかないよなって思える。誰かの人生を評価できるほど、誰も偉くないだろって思える。  その意味では、素晴らしい生き方の紹介、といった感じのドキュメントは苦手ですね。  そういえば72時間のテーマ曲を歌う松崎ナオって、昔すごく好きでCDを買ったことがあって、この番組で久々に名前を見てなんだか嬉しくなりました。 「あなたに向かって」 松崎ナオ 「川べりの家」 松崎ナオ (こっちが72時間のテーマ曲)    そしてテレ東の方のテーマ曲は、もう有名すぎて、名曲すぎてやんなるんだけど毎回毎回、そりゃじんと来るよなーって感じで。 「Let It Be」 The Beatles  他にも各局でいろんなドキュメント番組がありますが、やっぱり人を撮るということの価値というか、普通の人(まあ普通なんてものはないのですが)を撮る、そういうテーマがすごく好きです。  ジャーナリズムに基づく事件の取材とは異なり、ドキュメント番組のスタッフは、少し無遠慮で、野暮で、図々しいくらいが良い。  聞かれる側は最初は戸惑うんだけど、やがてぽつりぽつりと語り出すんです。ずっと誰かに聞いてほしくて、だけどずっと誰にも言えなかったことのように。  大げさに言えば、魂の解放、でしょうか。  みんな語るんですよね、"あの頃どうだった" って話を。  過去を語るときの人の気持ちは様々でしょう。  ただ単に楽しかった過去を懐かしがる気持ちとか、辛かった過去と比べて今の自分を誇りたいときとか、誤った選択をやり直したいとか、不義理をした人に謝りたいとか、今は会えない誰かにもう一度会いたいとか…。  そういう、過去に思いを馳せる歌がすごく好きです。  ZARDの「眠り」という曲、亡くなった坂井泉水さんが自分で書いた歌詞なんですが、とても沁みます。曲もいいので、何度聴いたかなぁって感じです。 「タイムマシーン」 CHARA  「TIME」 B'z  「会いたい」 沢田知可子 「サラバ青春」 チャットモンチー  「渡良瀬橋」 森高千里 「魔法の料理」 BUMP OF CHICKEN 「あの日にかえりたい」 荒井由実 「夢が夢なら」 小沢健二 「あの夏の日々」 小谷美紗子 「少年時代」 井上陽水 「Look Back Again」 矢井田瞳 「時代」 中島みゆき 「Scrap Alley」 尾崎豊 「時には昔の話を」 加藤登紀子 「人生の扉」 竹内まりや 「眠り」 ZARD  「翼の折れたエンジェル」 中村あゆみ 「2002」 Anne Marie  敢えて中村あゆみと並べてみた、アンマリーのこの曲、すごく好きなんです。和訳を読んでると、何だかじんと来ます。失った過去じゃない、だけどあの日のことを…という感情は、原点回帰というほどシンプルじゃないんですが、誰にでもあるような、大切な感情のひとつなのかなと感じます。
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