鍵を探して

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「何の罪に問われるの?」彼は親に聞いた。 「そうだな、住居不法侵入かな?」父親は答えた。 「そういう法があるの?」 「あるのだよ」 「公務執行妨害じゃないの?」 「そうかもしれないな」 「そうか」 「でもどうしてそんなこと知っているのだ?」 「どうしてでしょうね」 「これからは鍵を先生に預けるか何かしたほうがいいのかな?」 「でもあのヤジは逮捕されたしいいのじゃないの」彼は言った。 「「いいかもね」母親は言った。 「いいかもしれなにね」  そこで食事を終えて話し終えた。また元の平和な家庭に戻った。彼は満足だった。彼は司法によって守られていることはわかったのであった。  悪者は逮捕されるのだ、ということを彼は学んだが前から知っていたような気はした。 「僕も悪いことしたら逮捕されちゃうね」彼は言った。 「悪いことはしてはいけないよ」父親は言った。 「悪いことはできないよ」母親はほほえんだ。 「そうか」彼は急に翌日が楽しみになった。キックベースがしたくなったのであった。 「早く寝ろ」父親は言って彼が寝ることを促した。 「わかった」彼はすぐに布団の上に横になって寝た。彼が気が付いた時には翌朝だった。心地よい目覚めだった。  母親は朝食の支度をしていた。
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