チケット1/6

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 映画を見終わり、彼から食事に誘われたが、有希はそれを断って一人で帰った。さんざん泣いたせいで目は腫れて心は疲れて返って落ち着いている。  彼には帰ってからもう一度謝ろう。そして、きちんとお断りをしようと思った。未だ彼が好意を寄せてくれているとは思えないが。 「おなかすいたな」  空腹を感じていることに有希は微笑した。この二日間無理やり塞いでいた翼との思い出ときちんと向き合ったおかげでお腹がすいている。今日も生きている。  家に着いた有希は冷蔵庫の中に転がる食材を確認してカレーライスを作った。翼が好きだと言ったカレー。これで二人の思い出がきちんと過去のこととして記憶される気がした。  お皿にこんもり盛ったカレーを机にもっていって有希も座る。 「いただきます」  スプーンを持つ前に有希は思い出したかのようにスマホのアプリで音楽をかける。先ほどの映画のエンディングソングだ。軽やかな洋楽を部屋に流しながら有希はカレーライスを頬張る。野菜は煮る時間が短く少し固いが、鍋いっぱいに作り置きしたので日が経つにつれてとろみとコクが増すだろう。  ふと窓外を見れば、黄金色に輝く月が空に浮いていた。
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