April. 入学

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『私、メリーくん。今教室を出たの』 こんなメールが俺と蓮に届いたのが10分前 それから俺たちに近づいているのがわかるメールが送られ続けている 「蓮、メールの送り主の名前は?」 「メリーくん」 「俺が聞いてるのはそういうことじゃないッ、本名だよッ」 「クククッ、何キレてんの?もしかして怖い?そう言えば、恵梨都おばけ苦手だったけ?」 俺がこういう類を苦手と知っていて、ニヤニヤしながら言ってくるもんだから、タチが悪い。 この男、蓮は、艶やかな黒髪にぱっちりとした目の所謂イケメンだ。 この容姿と気さくな対応から、王子様のようにこの学校では扱われているらしいが、悪魔もびっくりの腹黒野郎だ。 俺には幼い頃からいるせいで、その腹黒さを隠そうともしない。迷惑なやつ。 「うるせーな、苦手じゃないッ、嫌いなだけだ」 「それを苦手って言うんだよ。ほら怖いんだったら、手繋いでやるよ」 「しょうがねーな」 「おい、それは俺の言葉だろ!? しかも手繋ぐだけじゃなくて、腕組んでんじゃん! 言葉と行動を合わせろッ!」 「なんだよ、文句でもあ…ぎゃああああああっっ、な、なに、なに、むり、マジでむり、蓮ッ」 冷たい何かが俺の首筋に当たり、耳元で『私、メリーくん。今あなたの後ろにいるの』と囁かれて、腕を組んでいた蓮に飛びついた 「ハイハイ、お嬢サン、落ち着いてクダサイ。俺が抱っこしてあげてんじゃん。何にも怖くないよー」 「ふへ、ふふふ、んんん、あははははははは、ひーー、マジで恵梨都びびってんじゃん。蓮に飛びつくの早すぎてびっくりしたもん、俺」 この笑うのを我慢しようとして、失敗したこのおにーさんがメリーくんだったらしい。いや、薄々わかってたけど、やっぱ怖いものは怖いじゃん? しばらく、口もききたくない。結構怖かったし。 「薫くん(かおる)何やってんの?こんなしょうもないことしてさー。恵梨都が未だに俺から降りてくんないんだけど。まあ、いいけどさー。湊音くんに怒られても俺知らないからな?」 「やっぱり、湊音怒るかな?俺、早まっちゃった?」 「あ、いいこと思いついた!湊音くんにこの情報流して、ご褒美もらおっと♪」 「え゛、蓮ッ、それだけはやめて!?俺の命の燈が消えてしまうッ」 「えー?どうしようかなぁ」 「この前言ってた、カーディガンあげるからっ!な?」 「よし、乗った」 蓮と薫くんのしょうもない会話を聞きながら、俺は中庭に運ばれていた。 もちろん、蓮に抱っこされたまま。 どうして中庭かというと、そこでおにーさんたちと写真を撮るらしい。 あれ、みんなもういるじゃん。 「ごめん、遅くなって」 「全然いいけど、その可愛らしい状態に何でなったのか聞きたいわ」
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