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昼休みを告げるチャイムが鳴って、周りは思い思いの人物の所へとむかう。
学食なんてない便利なものが無い以上、ここで食べられるのは1階の購買で買ったものか、途中のコンビニで買えるものか、はたまた手作りの弁当か。
男子は購買へ進み、女子は楽しげにおしゃべりをしながら弁当を広げていた。
(そろそろ頃合いかな)
とりあえず機を図ってお弁当の中身を広げておく。
幸いにも弁当の中身が寄ることはなかったみたいで安心だ。
「よっすシノ、空いてるか?」
「東雲、ご飯一緒にしてもいいかな」
そこにやってきたのは隣のクラスの親友。禊萩蓮と伊吹翔の二人だった。
「どーぞ、暇だったしさ」
「やりぃ、蓮、物々交換しようぜ」
「うん、伊吹はおにぎりメインだったよね」
「蓮はと、サンドイッチか。なら鮭とカツサンドでどうよ」
「売った、あれ人気だし中々手に入らなくてさ」
「よっし海老鯛、ケケケ物の価値を知らんバカものめ」
いや蓮は間違いなく知ってる、カツサンドは人気だけど鮭は良く残ってる、控えめに見てもトレードできるようなものじゃないだろう。
それでも応じたのはまぁ、そう言う損得勘定じゃなくて「相手が欲しいから適当な理由付けて渡した」のかもしれない。
とはいえ少し不憫だ、それにパンばかりじゃ口がパサつくだろう。
「はい、味噌汁くらいならあげる」
鞄から紙コップを出して中身を注ぐ、魔法瓶で保温されてるからかまだ暖かい。
「いいの?じゃあ東雲にも何か」
「いらない」
にべもないけどこうでも言わないと蓮は譲歩しないし、嫌と言えばそれ以上は押してこない。
それに相手の分が減るのを見るのは少し心苦しい、私は伊吹のように図太くはなれない。
そんな事言ってたら喉につっかえたのか伊吹が袋の中身を探し始めた。
たぶん目当てはお茶だろう、急いでがっつくからそんな風になるんだ。
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