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今までは何とか教主さまが止めてくれたけど、それでも限界はあった。
そして夜中に、ある会話を聞いてしまった
「そのようなことが許されるわけがない!」
「ですが、彼女からノエルが生まれたのも事実なのです!それなら彼女には特別な血統があるという事ではないのですか?」
「確かに彼女の血には巫女の血が流れてます、そしてノエルにその力が受け継がれたのも事実です。ですがノエルのような子を増やそうなどと!」
「私達には必要なのです!!我らの声を聞き届け、この悲しみを慎む神が!!」
その喧騒がずっと耳に残っていて離れてくれない、彼らにとって私はもう都合のいい代行者でしかなかった。
彼らの瞳にはもう、私は映ってなかった。
だからか、その手が私とお母さんに伸びる前に教主さまが逃がしてくれた。
「お逃げなさい二人とも、私はもう少しここで彼らと話をします」
「教主さま、一緒に逃げよう!ダメだよここに居たら!!」
「たとえそうだとしても、私には責任があるのです。彼らを導き救う責任が、それが今も私がここにいる理由なのです!!」
「ごめんなさい教主様!」
その後はお母さんと離れて、そうして宮古お姉ちゃんに拾われた。
お姉ちゃんの傍にいると優しいころの教主さまやお母さんを思い出した。
(でも、もうお姉ちゃんは来ない)
最期まで私を逃がそうとしたその姿にあの日を思い出して、今度は私が責任を取らなきゃならなかった。
(これでいいんだ、これでお姉ちゃんは私の事を忘れて生きてくれる)
全てはあの日、言いつけを聞かないで力を使ってしまった私の責任なんだから。
微睡みの中で微かに音が聞こえる。
誰かがここに掛け寄ってくる足音、ここにはもう私と変わってしまった教主さましかいないのに。
「……ル、ノ…ル!……に居るの!」
(そんな、嘘だよ。だってお姉ちゃんがここに来るはずがない)
きっと私が見ている都合のいい夢、そんなものだとばかり思っていた。
だけども足音は確実に近づいてきて、そして。
「ノエル!そこに居る!?聞こえたら返事をしてよ!!」
はっきりと聞こえた、私を探す大好きな人の声が。
「お姉ちゃん……」
「そこだね、ちょっと待ってて!」
その直後にドアが何度か歪んだ後打ち倒され、宮古お姉ちゃんがそこに現れたのだった。
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