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「花村さん。え、なに、どうしたの、その……かわいい格好」
八谷くんが珍しく掠れて戸惑った声を出していて、ていうか硬派な八谷くんの口からかわいいなんて言葉が出てきたことに驚いて、泳いでた私は地に足がついた。
上目に見ると、手の甲をおでこに当てた八谷くんの視線があさってのほうを向いていて、暗さでわからないけどもしかして顔が赤らんでいる?
「デートの服を考えてたの……」
本当は服だけじゃないあれやこれやも全部考えてたけどそんなこと言っちゃうと変態だと思われるし、そのうえあまりにも浮かれまくってたことがバレたら八谷くんが明日部活が入ってごめんって思うかもしれないから言わないけど。
でもそのあれやこれやを口にしなくても八谷くんはすごく申し訳なさそうな顔で俯いて、自分の手で手を握りしめるように体の前で組みながら言った。
「明日、ごめん。特別な一日にするはずだったのにな」
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