マシュマロと恋の味

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 目の前に色とりどりのお魚が泳ぐ水槽が広がってて、そこで、手なんて繋いじゃったりして。私の話にいつもみたいに「ああ」とか「そうだな」って相槌をうつ八谷くんの、口の動きが目の前にあって。少し微笑んでくれたりしたらもうその口元から目が離せなくて――。  八谷くんとキス。  ヤバイヤバイヤバイヤバイ。いやでも、ちがうんです。そんなつもりじゃない、はずだ私は。したくないわけじゃなくてそりゃあしてみたい気持ちはやまやまだけど、そんなこと期待するなんて痴女みたいだし硬派な八谷くんはきっともっと清らかなお付き合いを望んでいる、と思う。いやでもそれは八谷くんを神聖視しすぎかもしれなくて、好きな人とのデートに夢見ても許されるような気がしてきたぞ。きっと八谷くんはそんなつもりじゃないだろうけどだって好きだからね!? だから、特別な一日にしようってそんな期待を多分に含めて滑らせたんだけど、それに対してそうだなって、そうだなって、つまりはしてもいいということなのでしょうか。キス。  もはや開き直ると、私は八谷くんとキスがしたい。  正確には、キスしてみたい。ファーストキスだからどんなものかよくわからないし、でも最近はそんな欲望がむくむくと胸に湧き上がるものだから八谷くんと話すときは彼の口ばかり意識してしまっていた。  あの口と、触れるってどんな感じ?  ……ていうか、どうやって?
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