絶望から始まった物語

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毎日毎日会社員として働いていたが、今日クビを言い渡された。上司曰くまだ君は若いから大丈夫だろう?との事。 とりあえず今日は早退していいからとの事で、結婚も約束して同棲している彼女の元へと帰る。抱きしめてお疲れ様って言われたらまた頑張れると思い、家の前に来てみれば知らない車が止まっている。 赤い高級車で、友達のものだろうかと思い邪魔にならないようにと音も立てず家に入る。二階建ての家で結婚してからも住む予定の家で、まだローンも残っている。 足音も立てないようにとりあえず二階の寝室に着替えがあるので、二階へ上がってみれば寝室の扉が開いていて首を傾げながら近付いてみて歩みが止まってしまう。 ベッドの軋む音と彼女の喘ぎ声が聞こえていて、近付いて覗けば見知らぬ男に抱かれて気持ち良さそうに縋り付く彼女の姿がある。彼女からもっともっとと強請っているのを見て胸が痛む。 俺に抱かれるより気持ち良さそうな姿を見ていて気力が無くなってゆくのを感じ、風呂場で湯をためてその中で切ると血が早く出て死ねると聞いた事がある。 俺は湯をためて睡眠薬を飲み、服のまま風呂へと入り手首を切って湯の中へ沈める。痛いけれど徐々に睡魔に襲われ、俺はゆっくり目を閉じていった。
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