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「こんな服しかあまりなくてその…ほかは外を歩くにはそのだな」
顔を背けてゴニョニョ言われ、あの親子の趣味の服なんてそんなものだろうととりあえずメイド服を着ていったが胸がこぼれおちてしまう。なんとか収めて青年を見ればこちらに背を向けている。
「俺は男だから着替えを見られても」
「今は体は女性だろう」
「まぁ…そうなんだけど…」
黒レースの下着もあったがこのまま履くのも気持ち悪かったので立ち膝になり中を掻き出す。どれだけ出したのかと思うほど出てきて、シーツで拭ってから下着を履いてから青年の袖を引こうとしてその手を引いた。
本当にこの青年について行っていいのだろうか?見知らぬ男だと言い張る女を連れ帰って周りの人に変な目で見られたりはしないだろうか?俺のせいでこの青年の人生が悪化したら?俺のせいでこの青年が楽しむ時間なども奪ってしまうのでは…?俺のせいで
「着替えたなら言え」
呆れた様子で振り向かれ、目隠しをされて手を引かれて歩かれる。歩いていれば途中で血の匂いが濃い場所に来て足を踏み出せばピチャッと音がした。
俺がここがどういう場所かわかり歩みが止まってしまえば、ため息をつかれてしまいさらに身が強ばるのを感じた。頬に何か近づく感覚がして打たれるのかとビクッとすれば優しく触れられる。
「男に抱き上げられるのは嫌だろうからと歩いてもらったが、抱き上げても構わないだろうか」
俺は触れてきた手に手を重ねて小さく頷けばフワと体が浮く。暖かい物に包まれたようで、俺は青年の胸に擦り寄って目を閉じた。
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