絶望から始まった物語

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結局先程の彼が何者か聞けないまま交互に犯され、ぐったりしていれば二人はシャワーを浴びに向かったようで俺は体を何とか起こす。あれからどれだけ経ったかわからないが日が傾きかけている。 腹に力を込めなくても二人の子種が溢れ出し気持ち悪い。男の俺が男に犯される時だけが生きてる気がするなんて生き地獄のようで、吐き気がする。 息子の叫び声が聞こえ、次に父親の叫び声が聞こえメイドの悲鳴も聞こえてくる。他人事のようにボーッとしていれば扉が破壊され二匹の狼のようなものが居た。 狼より一回りも二回りも大きく爪が鋭い。体には傷跡がたくさんあり、千切れた鎖付きの首輪も見えあの親子が飼っていたのかと思う。 だが口周りが赤く濡れていて爪も赤い色に染まっている。そのまま俺に飛びかかられて牙を向けられ、受け入れるように手を広げればピシャッと生暖かい液体がかかる。 そして狼は鎖ごと消えてもう一匹の姿もなくあの庭にいた青年が立っている。その手には黒い剣が握られていたが、付いた血を払い鞘に戻した。 「死にたいのか」 「俺…自分がわからなくて…」 「どういう事だ…?」 切れ長の瞳で見つめられ、俺が口を開こうとしたら袖で顔を拭われる。あぁそう言えば血がかかったんだった…どうでも良くて忘れていたな。
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