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なんとなく、彼の感情が読めた、気がする。
ま、さか……。
「俺、女の子と付き合ったことなんかないよ。好きになったこともない。──意味わかる?」
「……わ、かる、と思う」
抑えた平坦な口調で紡がれる言葉。
──わかるよ。今、わかったよ。
何が「怖かった」のかも、瞬時に全部。
やはり、そうなのだろう。
「家庭教師を半年、そのあとこうして会うようになってもう二年半以上になるよね。『もしかして』ってまったく感じなかったわけじゃない。──いや、ほぼ確信してた、かも」
核心には触れない、少し歯痒い慎重な言葉選び。
明るい笑顔の裏に彼が隠していたものが、真矢にはよく見える。何故なら真矢も『同じ』だから。
二人はきっと互いに……。
「どうしても思い切れなかった。だって真矢くんみたいな綺麗な子と、平凡な俺じゃ釣り合わないだろ?」
「え、え? 何言ってんの? 逆だろー! 鷹司さんカッコいいし、頭も良いじゃんか」
高学歴で高収入だし、までは失礼かと自重した。
「いや。相良が正しいんだ。真矢くんの隣じゃ、俺は見劣りする」
七海の言葉に縛られていると? ただの身内の贔屓目でしかないのに。
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