15人が本棚に入れています
本棚に追加
大学で、真矢は講義終わりや休み時間に何度もスマートフォンを確かめては落胆していた。
その様子に、一番親しくしている梶が気づいたらしい。
「如月、どうしたー? なんか連絡待ってんの?」
訊かれても何も返せなかった。
彼は真矢の大切な友人で、信頼しているから全部打ち明けても構わない。ただ、何か一つでも口にしたら涙が零れそうだった。
曖昧に笑うだけの真矢を問い詰めることはしない梶に、心の中で手を合わせる。
鷹司からの返信が来ないのだ。既読はついているにもかかわらず。
つまり彼自身が無理だと考えてスルーしているということだ。「何こいつ、無茶言うなよ」と呆れられたのかもしれない。「男と二人で水族館て何の罰ゲームだよ」と?
やっぱりやめておけばよかったのか。
最初のコメントを投稿しよう!