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    ◇  ◇  ◇ 《ごめん、今日忙しくてスマホ触る時間ほとんどなかった! メッセージは見たんだけど返事する前に呼ばれちゃって!》 《水族館はOKだよ〜。次の週末でいい? 土曜はどう?》  今朝のメッセージに、続けて返信が来たのはもう夜十時が近かった。  この半日、乱高下していた気持ちが少し落ち着く。  しかしまったく気にしてもいないような文章が少し引っ掛かってしまった。いいのだろうか。  ……承諾してもらったのだから構わない、のか? 《ありがとう! じゃあ土曜に。すっごい楽しみ~》  気分とは裏腹の、能天気なメッセージを作成して送る。  ボタンを押すと同時に、真矢はスマートフォンを手から離した。  これっきりにする。絶対に、これが最後。一緒に写真を撮ってもらおう。  鷹司の「彼女」には悪いけれど想い出が、──最後に一日でいいから、彼と真矢だけの時間がほしかった。
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