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 そういえば、真矢の父も結婚したのを機に趣味のコレクションを諦めたという。  結婚当初は新居が狭いため実家に置いておいて、広い部屋に越したら持って来ようと思っていたらしい。結局は母に「小さな子(真矢)がいるのに、細かい部品が多い人形なんて危ない!」と却下され、そのままになっていたようだ。  子どものころ田舎の祖父の家に行くと、高校まで使っていたという父の部屋にプラモデル類が大量にあって驚かされた。 「芳雄(よしお)! あんたの部屋、いい加減に何とかしなさい! お父さんとお母さんだって、もう終活考える時期なのよ。捨てるのだって年寄りには大仕事なんだから!」  今年の正月に訪ねた際、祖母が怒っていた。  それはそうだろう。  もう家にはいない、五十も過ぎた息子の玩具など「いつまで置いておくんだ!」と腹が立つのは理解できる。むしろ今まで我慢していただけ心が広いとさえ感じてしまう。 「私、あんなのどこがいいのか全然わかりません」 「小百合(さゆり)さんもそう思うでしょ? 本当に昔っから好きでねぇ。邪魔だったわ〜! 家の方では困らせてなかった?」  母は祖母と炬燵で意気投合していて、手伝う気はない、と無言でアピールしていた。  決局、真矢と父が二人で片付けたのだ。正月早々、大変な目に合った……。
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