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◇ ◇ ◇
鷹司とは、真矢が高校三年生の大学受験のときに家庭教師をしてもらっていた関係だ。
模試で不本意な結果が続いて、真矢は情緒不安定になっていた。家で一人でいると勝手に涙が溢れて来るような、今思えばかなり危険な状態だった。
心配した母が、従姉の七海に頼んで探してくれたのだ。
「家に来てもらうからまったく知らない人はちょっとね。女の人の方が良かったけど、七海ちゃんの紹介なら安心だわ」
彼は従姉の大学と院の同級生だった。
母は七海本人にしてほしかったようだが、彼女の家から二時間は掛かるため継続して頼むのは無理がある。
紹介された鷹司は、とても親切で教え方も丁寧だった。目に見えてぐんと成績も上がり、おかげで本命にも合格することができたのだ。
相対的には七海や鷹司の超一流と評される大学より『下』なのは間違いないが、真矢にとってはどうしても行きたい憧れの学校だったので満足している。
七海も彼と同じく優秀であるし、家庭教師や塾講師もしていて教えるのは慣れていたはず。
母の姉の子で真矢とは仲も良いので、彼女だとしても文句などなかった。
しかしそんなことは関係なく、鷹司と会わせてくれただけで真矢は七海に感謝しているのだ。
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