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「でもよくそれで引き受けましたよね」
そんな失礼な言葉を掛けられたら普通は怒るのではないか?
「え? だって『家庭教師先の子に気を遣う』なんて当たり前じゃない? 仕事なんだしさ。そもそも『態度悪くて傷つけそう』とか思ってたら、相良も最初から俺に声掛けないだろ。真矢くんのこと大事だから念のためだってわかってるし、別に問題ないよ。条件良かったしね」
平然と答えた鷹司に、真矢の方が驚いてしまう。
七海がこの人を選んだ理由がわかる気がした。
弱って参ってしまっていた従弟のことを親身に考えて、いい人を探してくれたのだ、と心の底から思える。
肩書と初期の対応から、鷹司は頭脳明晰で堅苦しい人間に見えた。しかし、親しくなるにつれ明るく気さくな男だとわかって来る。
今が適当だという意味ではなく、やはり最初は真矢の現状を知るからこそ気を配ってくれていたのだろう。
週に二回教えてもらううちに、最初は仄かな好意だけだった真矢の彼への想いは加速度的に深まって行った。
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