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「何で鷹斗がありがとうなの?」
「実は今日俺の誕生日なんだ」
「えー! それはなおさらおめでたい! おめでとう、おめでとう!」
薫ちゃんや野村さんもおめでとうと言ってくれた。こんなにお祝いされた誕生日なんて小学生以来だ。物凄く照れ臭かった。
「ちょっと待って!」
薫ちゃんが突然スマホを操作し始めた。
「誕生日おめでとう……誕生日おめでとう……あるよ!」
スマホの画面には誕生日を祝うコメントが並んでいた。
「今の時間、明けましておめでとうのコメントは溢れるくらいあるけど、誕生日おめでとうのコメントはそんなにはないよ」
「あっ、なるほど!」
また阿吽の呼吸で穂乃花は薫ちゃんの言葉の意味をすぐに理解した。
「鷹斗、この中に思い当たるニックネームある?」
穂乃花は俺にスマホを差し出した。
「親が子供の誕生日を忘れるはずない。会えなくてもきっとお祝いしてるはず。だからこの中にお母さんからのコメントがあるかもしれないよ」
薫ちゃんが優しい目で言った。俺の事を穂乃花は薫ちゃんにも話していたらしい。何でも話せる仲良しな親子なんだなと思いながら、俺はスマホの画面をスクロールしていった。
「…………」
手が止まった。目が釘付けになった。
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