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「鷹斗冷たい。休みなんだから一緒にいたいのに」
「それをブチ壊したのは自分だろ」
「そんなつもりじゃなかった」
「でも結果はこうだ」
「まだ終わってない。今日は始まったばっかりなんだから」
「面倒くさい。帰れ」
「やだ!」
穂乃花は泣きながらスマホを取り出した。
「鷹斗は冷たい。優しくない。でも真面目で冷静で何でもできる。あと優しさだけあれば完璧なの。だから優しさを取り戻さなきゃ」
「取り戻す? どうやって?」
「お母さんのお腹の中にあるはずだからお母さんを探すの」
「はあ? 何処にいるのか、生きてるか死んでるかも分からないんだぞ」
「今の時代スマホがあれば何でもできる!」
自信満々に穂乃花は言い切った。スマホでそんな事ができるのだろうか。電話とメールにしか使っていない。こんな小さな物にそんな能力があるのだろうか。
「取り敢えず色んなSNS調べてみよう。お母さんの名前何ていうの?」
「……鈴香」
「苗字は? 鷹斗と一緒? でも離婚したんなら旧姓かな」
穂乃花は母親の名前を検索しまくった。しかし何もヒットしなかった。
「まあ……SNSを本名でやる人はいないか。あ、でもお悔やみ欄とかにも載ってなかったから生きてる可能性大だよ」
それから穂乃花とスマホを弄り続け1日が過ぎた。穂乃花を追い返す事も忘れ、昼飯も夕飯も作ってやった。検索の途中スマホの機能を教えてもらったり役に立ちそうなアプリを入れてもらった。
穂乃花といると調子が狂う。でも嫌ではないと感じる自分がいた。
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