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穂乃花は仕事が終わるとアパートに寄ってはスマホ検索しながら夕飯を食べていく。そんな日々が続いた。しかし何の手掛かりも掴めないまま1週間が過ぎた。
「やっぱり無理なんだよ」
「そんな事ない! 諦めたらそこでゲームオーバーだよ!」
「穂乃花はゲーム感覚なのか?」
母親探しがゲームだと言われたようで、俺はムッとした。
「違うよ。有名な漫画のセリフじゃない。知らないの?」
「そんなの知らないよ」
穂乃花は無料で読める漫画のサイトを教えてくれた。昔は漫画なんて買ってもらえず読めなかったが、今の時代無料で漫画が読めると知って驚いた。
穂乃花は母親の「鈴香」という名前から「ベル」とか「リンリン」というニックネームを使っている可能性があると考えひたすら検索した。しかしそれらしい人物には辿り着かなかった。
「やっぱり無理なんだよ。ありがとう。もういいよ」
「ありがとう!? 鷹斗が私にお礼言うなんて! きっとお母さんに近付いてきたから優しさが増したのね。だったらもっと頑張るしかない!」
穂乃花は飽きもせずにスマホを弄っている。もういいのに。今更母親になんて会いたくもない。
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