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翌週、穂乃花は違う方向から攻め始めた。
「お母さんの好きだったミュージシャンは誰?」
「ミュージシャン? そうだなあ……」
母親が良く聴いていたミュージシャンの名前を教えた。穂乃花はすぐにミュージシャンを検索し始めた。
「フォローしてる可能性は高いわ」
「もう興味なくなってるかもしれないよ」
「そんな事ない。一度好きになった人、簡単に嫌いになんてならない……あった!」
サイトはすぐに見つかった。しかしフォロワー数が物凄かった。
「この中にいるはず、う〜ん……」
何万、何十万といるフォロワーの中から1人を見つけるなんて無理だ。それもみんな本名ではない。
「これは諦めだな」
「諦めたらそこでゲームオーバー! でも……これは諦め……じゃなくて保留。そう、保留よ!」
そう言って穂乃花はスマホを放り出した。
「明日は休みだね」
「どっか行く?」
「それもいいけど……泊まってく!」
穂乃花は俺に抱きついてきた。検索に飽きたようだ。目が赤い。仕事でパソコンばかり見つめ、仕事が終わったらスマホばかり見つめ。目も疲れるはずだ。
そこまでしてどうして穂乃花は俺の母親を探そうとするのだろうか。
「目が赤いぞ」
「大丈夫」
「肩も凝るだろう」
「うん……鷹斗揉んで!」
「これ貼っとけ」
穂乃花に湿布を投げた。
「え〜、揉んで欲しかったのになぁ。じゃあ貼って!」
穂乃花は俺に背中を向けた。湿布を貼るには服を脱がさなければならない。そんな気にもなれず、俺は仕方なく穂乃花の肩を揉み始めた。
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