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ファミレスの店内から見える駐車場は、いつもと同じく、半分程度しか埋まっていなかった。街灯が届かない暗がりで、まばらなイルミネーションが光る。赤と白と緑、ベタな配色の電球のつらなりは、駐車場の柵や階段の手すりにゆるく巻きついている。長さが足りないのか、階段のイルミネーションは途中で途切れていた。
中途半端に飾るくらいなら、いっそやめてしまえばいいのに。実優は子どもの頃からずっと思うが、この店は毎年同じイルミネーションで飾られる。こんな微妙なイルミネーションだから、世の中のあらゆる場所が混む今日なのに空いているんだ、と勝手に決めつけてみる。でも、文句を言いつつ、実優はこの店を長年利用している。家に近いし安いから。ファミレスなんて、そういうものか、とも思う。
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