聖夜にファミレス

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 絢香が音を立ててジュースを吸ったとき、ちょうど料理が運ばれてきた。湯気を立てるハンバーグに、絢香はフォークを突き立てた。大きく切った肉片を、口に放りこむ。美しい顔に似合わない豪快な食べっぷり。他のひとが見たら驚くだろうが、実優にとってはこちらのほうが見慣れている。一昨年、中学校の同窓会で、フォークに巻いた一口分のパスタを、優雅な動作で口元に運ぶ絢香を見たときは、笑いをこらえるのに苦労した。  実優の意識が逸れていることを察したのか、絢香は「ねえ」と身を乗り出してきた。 「わたし、変なこと言ってる?普通、クリスマスはもっとちゃんとしたところ行くでしょ?」 「さあ、価値観なんてひとそれぞれだから」  ファミレスだって、ちゃんとしたレストランだ。営業日であれば、クリスマスだろうが正月だろうが、いつ行ってもまったく問題ないと思う。でも、自分の感覚が世間一般からはずれているだろう、ということはわかっている。自分たちくらいの年齢のひとたちにとって、クリスマスとは恋人と過ごす特別な日であり、普段より豪華なデートが望まれるのだろう。
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