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「そう!石みたいなのがついてる、いつ着けるんだよ、ってくらいセンスないやつ。しかも、ピアスじゃなくてイヤリングって。わたし、ピアスホール空いてるのに。二ヶ月も付きあってたのに、なにを見てたんだろう。まあ、別にそれだけが理由で別れたわけじゃなくて、もっと他にもいろいろ」
今度は元彼の愚痴に突入しそうな絢香を、実優は「毎回言ってるけど」とさえぎった。
「それ、別れるまでためこむんじゃなくて、彼氏に直接言えばいいじゃん。いいレストランに連れて行ってほしければ、そう言えばいいんだよ。もうちょっと高いプレゼント欲しいって言えばいい」
「でもさ、それはなんか、性格悪くない?金のかかるわがままな女、みたいな。それに、そんな細かいこといちいち言われたら、いらつくかなって」
「あんたがわがままで、自分の不満が細かすぎるってことは、自覚してるんだね」
あえて投げつけたきつい言葉に、絢香は肩をすくめ、薄紅色の口をとがらせる。
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