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「あのさ…智之は俺が好き…なのか?と、とにかく、泣くなよ…」
ガチ泣きだ…。
好きなことは言えなかったよな…。
俺が悪いワケじゃないけど、ちょっと罪悪感。
「……なーんちゃって♪いや~涙が出てよかった♪10秒で泣ける自信はあったけどね♪」
「は?全部嘘かよ!危うく信じるところだったわ!」
「現在劇団員の泣きの演技を舐めてもらっちゃ困るなー♪でも真に受けているってことは、もしかしてオレのこと好きになった?」
うぐぐ…何とか一矢報いたい。
「好きになった。変な話だけど、泣き顔が綺麗だなと思った」
「マジで…?えっと…喜んだ方がいいのか、困惑している方がいいのか…ちょっと分かんない…。嫌じゃないんだけどね…」
え?何マジになってんの?
だって全部嘘だったよね?
全部……俺のことが好きかどうかは嘘とは言ってないような…え?
「実はオレ達、両想いだったとか?それならそうで……え?あれ?何で涙が…?ホッとしたから?」
智之は涙に戸惑っているってことは、こっちがガチだ。
演技の時みたいな魅せる要素はないけど、素の智之らしい感じの今の泣き顔の方が、俺もホッとする。
しかし困った。
俺は一矢報いたいって気持ちだけで、別に男と付き合いたいとは思っていない。
でも、この智之を見ていると…無下にはできないよな…。
「取りあえず、その、恋人になっても、今まで通りの付き合いでいいなら、俺は構わないけど…?」
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