0人が本棚に入れています
本棚に追加
怒号が飛び交いますが、教員方に構っている場合ではありません。僕はもう一度、小暮のぞみに銃口を向けました。すると、徳野幸人が、今度は僕に突進して来ました。突然の出来事に僕は対応し切れず、バランスを崩して後ろへ倒れてしまいました。そのとき、僕は頭部にあった身体の行動を司る部品を強く打ってしまい、損傷し、機能しなくなってしまいました。僕は、もう動くことが不可能となりました。
僕は小暮のぞみの暗殺を失敗に終わらせてしまったのです。社長はどう思われるのでしょう。我が社の将来は、どうなってしまうのでしょう。我が社は、理解不能な「愛」というものに、将来を揺るがされてしまったのです。なぜ人は愛するのでしょうか。我が社のような会社を揺るがすためでしょうか。僕がこの暗殺の機会を逃してしまったのは、徳野幸人もまた、限りある命の中で愛の機会を逃したくなかったからなのでしょうか。僕のように、身体に終わりが来るのに愛するのは、僕のように後悔をしたくないからなのでしょうか。
完
最初のコメントを投稿しよう!