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しかし、小暮のぞみを暗殺する機会は、なかなかありません。なぜなら、彼女はいつも友人に囲まれているからです。彼女の父が社長なのはクラスメイトの皆さんはご存知のようでした。彼女は聞き分けがよく、穏やかな印象でフォローがお上手です。こういうのを「人柄が良い」と言うのでしょうか。それとも、皆さんは父が社長だから胡麻を擦っているのでしょうか。なんにせよ、僕には都合が悪いです。もちろん僕が殺したところを見られてはなりません。さらに、僕がアンドロイドということを知られてはなりません。僕が彼女を殺したところが知られると、アンドロイドだと知られると、すぐにでも我が社のアンドロイドだということが特定されてしまうでしょう。僕のような高性能のアンドロイドを製造出来る会社は、我が社しかありませんから。これはかなり厄介です。その後、なかなか実行に移せないまま約半年間が過ぎ、修学旅行の日になってしまいました。
2泊3日の2日目の夜、僕は衝撃の事実を耳にしました。同じ班の徳野幸人が、小暮のぞみに好意を抱いていると言うのです。
「え!? お前マジか!!」
「いや〜〜分かる。それは俺も分かる。」
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