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 スレイはオレのマフラーに手を伸ばし、くるくるとはずしてしまった。続けて、かぶっていた毛糸の帽子をパッと取ると、クルンに放り投げる。クルンが空中でひょいとくわえて、投げ上げ頭に被った。そのとたん、ピョコンっと髪が跳ねた。 「あーっ、ちょっ、帽子!」  オレはくるくると踊り出す髪の毛を手で抑えた。  でもスレイがダウンコートに手を伸ばしてきたから、仕方なく手袋をはずして自分で脱ぐ。コートの下に着ているのはハイネックのフリースだ。まだ暑すぎる。 「待ってて!」  スレイは駆け出していくと、木の根っこに包まれた建物に駆け込んで行き、手に服を持って出て来た。 「これ、着替えて」 「あのでも、オレ帰らないと」 「暑いデショ?」 「うん。でも」 「ちょっとだけ。遊ぼ? それに、ケントにお願い、ある」 「お願い? なに?」 「んー。あとで言う、ね。遊ぼ?」  スレイはオレのフリースのスソをツンツンと引っ張った。 「うん、少し、なら」  正直言って、姫ばあちゃん家にいても、友だちがいないから退屈してた。ソリ遊びもスキーも、かまくらづくりも雪合戦も、友だちがいなきゃ、面白くない。オレは友だちと遊びに飢えてた。
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