3/21
前へ
/155ページ
次へ
「え? どういう意味?」 「ほら、見て! クルン、真ん中の通路さしてる」 「ホントだ……」 「壁画のクルンが教えてくれるなら、迷わないですむな」 「で、どこに行くんだ?」 「ほら、見て!」  スレイが指さした先を見ると、輝いている壺を持っている乙女が彫られている。 「アムリタか!」  思わず叫ぶと、頭上でクルンが2、3回、回った。返事のつもりなのだろう。 「やった! じゃあ、次はクルンがこっち向いているから、こっちか……」  亮が足を踏み出したとたん、亮の体がふわっと浮いてどすんと倒れた。腰にコン・ティンの蔓が巻き付いて、後ろに引っ張ったんだ。 「なにす……!」  亮が抗議の声をあげるのを遮るように、ドンッとつららのような形の石が落ちて、床に突き刺さった。倒れた亮の足と足の間に。 「ひえっ!」  亮は奇声をあげた。額から冷や汗がダラダラ流れ落ちている。 「だ、大丈夫か、亮……?」と、思わず亮の足の間を覗き見る。もくもくと埃が舞い上がる中、亮のアリババパンツが破けているのが見えた。 「なななななんだぉ!」  亮は両手両足をじたばたさせて、慌てて立ち上がった。 ――こ、これは……、コン・ティンが引っ張るのが一秒でも遅かったら、かなりヤバいことになってたな
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加