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「え? どういう意味?」
「ほら、見て! クルン、真ん中の通路さしてる」
「ホントだ……」
「壁画のクルンが教えてくれるなら、迷わないですむな」
「で、どこに行くんだ?」
「ほら、見て!」
スレイが指さした先を見ると、輝いている壺を持っている乙女が彫られている。
「アムリタか!」
思わず叫ぶと、頭上でクルンが2、3回、回った。返事のつもりなのだろう。
「やった! じゃあ、次はクルンがこっち向いているから、こっちか……」
亮が足を踏み出したとたん、亮の体がふわっと浮いてどすんと倒れた。腰にコン・ティンの蔓が巻き付いて、後ろに引っ張ったんだ。
「なにす……!」
亮が抗議の声をあげるのを遮るように、ドンッとつららのような形の石が落ちて、床に突き刺さった。倒れた亮の足と足の間に。
「ひえっ!」
亮は奇声をあげた。額から冷や汗がダラダラ流れ落ちている。
「だ、大丈夫か、亮……?」と、思わず亮の足の間を覗き見る。もくもくと埃が舞い上がる中、亮のアリババパンツがちょっぴり破けているのが見えた。
「なななななんだぉ!」
亮は両手両足をじたばたさせて、慌てて立ち上がった。
――こ、これは……、コン・ティンが引っ張るのが一秒でも遅かったら、かなりヤバいことになってたな
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